[資料 No.9]

文献解説表

標題

汚物臭軽減への試み-消臭機能性食品を用いた検討-


著者

加藤誠


掲載

JJPEN, Vol.21(3), 1999


要旨

医療現場での患者環境整備の一環として汚物臭に着目し、マッシュルーム抽出物であるシャンピニオンエキス含有流動食による消臭を試みた。
入院中の経鼻経管栄養を施行しており、排泄をオムツで処理している患者を対象に、シャンピニオンエキス含有流動食を4週間投与し、便臭の官能検査、便発生悪臭物質の測定等を行い、その効果を評価した。その結果、シャンピニオンエキスは消臭機能性食品として看護や介護の現場で高い有用性が期待されることが示唆された。


目的

食品の中にあって消臭機能に優れた効果があるとされるマッシュルーム抽出物質であるシャンピニオンエキスを用い、患者環境、殊に臭いという環境の改善を中心に検討を行う。


具体的手法

【官能試験】
a.医療従事者(9職種15名)による便臭官能試験
【便発生悪臭物質の測定】
b.検知管((株)ガステック製)を用いたアミン濃度の測定
c.北川式ガス検知管(光明理化学工業(株)製)を用いたアンモニア濃度の測定
d.北川式ガス検知管(光明理化学工業(株)製)を用いたメチルメルカプタン濃度の測定


結果の要約

対象例数摂取量・期間結果
入院中の経鼻経管栄養を施行しており、排泄をオムツで処理している患者10名(投与)
4週間
【官能試験】
a.サンプルの平均値は時間経過とともに減少傾向を示し、各時点間に有意差は認められなかったものの、試験食使用前後の検定では有意に減少傾向を示した。

【便発生悪臭物質の測定】
b.アミンでは官能試験と同様に時間経過による減少傾向が認められ、14日目と28日目の検定でp<0.05有意差が認められた。
c.アンモニアでは実測値、有意差ともに減少傾向は認められなかった。
d.メチルメルカプタンでは実測値、有意差ともに減少傾向は認められなかった。

対象

入院中の経鼻経管栄養を施行しており、排泄をオムツで処理している患者

例数

10名

摂取量・期間

(投与)4週間

結果

【官能試験】
a.サンプルの平均値は時間経過とともに減少傾向を示し、各時点間に有意差は認められなかったものの、試験食使用前後の検定では有意に減少傾向を示した。

【便発生悪臭物質の測定】
b.アミンでは官能試験と同様に時間経過による減少傾向が認められ、14日目と28日目の検定でp<0.05有意差が認められた。
c.アンモニアでは実測値、有意差ともに減少傾向は認められなかった。
d.メチルメルカプタンでは実測値、有意差ともに減少傾向は認められなかった。


まとめ

・シャンピニオンエキスは人の嗅覚に対し便臭の軽減効果があることが示唆された。
・シャンピニオンエキスはその投与中、便中アミン濃度を有意に減少させた。便中アンモニア濃度、便中メチルメルカプタン濃度においてはそれぞれ有意な減少傾向は示さなかった。